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ボランティア社会の誕生

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中山 淳雄 著 ¥1900+税      ISBN978-4-944068-93-7 書評  ボランティア社会は、1995年の阪神淡路大震災以後に、先進国中では日本に特異的に出現した新規な社会・文化現象である。1998年の法律改正により「ボランティア団体」がNPO法人として認可され、それに伴い職業としての「ボランティア」が誕生し、職業人社会としての「ボランティア社会」が誕生した。  その新規性は、ボランティアに参加する当事者がその参加目的を 「自分のため」「自分探しをするため」と位置づけるところにある。  ボランティアの発祥地であるヨーロッパでは、ボランティア(義勇兵)は、自発性、無償制、社会性を伴う勇気ある善行だったが、それは本業を持つ人たちのサイドワークだった。ところが日本で誕生したボランティア社会では、それが「自分のため」の行動に変化することで普遍化した点に特異さがある。  若い人々がこぞって小さな親切に気を遣うような行動を取ることは、ヨーロッパ社会では普通、マナーの善し悪しの問題だが、それが日本では心情的なボランティア行動として発現する社会的な仕組みが出来上がったのである。  1985年のボランピア計画(政府が2年間に限って、様々なボランティア団体に資金を援助し、幅広く活躍するボランティアの根着きを支援するボランティア普及計画)を契機に、ボランティアに参加する実員は増えなかったが、若者の間に参加意欲の旺盛なボランティア予備軍的心情が形成された。  合わせて政府自治体が行う福祉政策が従来の施設福祉から地域福祉に転換し、 将来は誰もがボランティアの手を煩わせる老人や病弱者となる道筋が示された。さらに自治体も又、きめ細かく多様な福祉ニーズを実現するために、低予算で使える多数のボランティアを必要とすることとなり、ボランティア組織の育成支援を手がけるように変化した。こうして、つまるところ多様な事を分担するボランティアが公的な支援を得て普及し、何をやってもボランティアになるような「ボランティア概念」の拡張が起こった。そしてそこに参加する若者達は「自分の、自分による、自分のため」の行動をボランティアと呼んで 「参加し、自己を形成する」場所を見付けたのである。  鋭くて精緻な分析が連ねられている。今時の修士論文を読もうとする積もりなら必見の一書である。<評・加藤真生> 序 章 置き去りにされた記号 第一章 分析のための道具 第二章 何を分析するのか 第三章 「ボランティア」という記号 第四章 千変万化のカテゴリー 第五章 浸食された「ボランティア」概念 第六章 終章 <内容>1995年の阪神淡路大震災以後、各自治体は競ってボランティアグループをNPO法人とし、行政末端の職務を委託している。ボランティアは正業となり、その同業者を基盤にした「ボランティア社会」が誕生した。これは世界のボ ランティア史上にも未曾有の事態である。ではなぜ、この日本においてこのように事態は進行したのか。1985年に政府が主催した「ボランピア事業」以後、統計上の数値上はボランティアが増加傾向を示すが、その実態はボランティアが増加したのではない。ボランティアという概念が拡大しながら普及し、ボランティアしたいと考える人々が増加していたのである。では、それは何故か。 日本修士論文賞受賞作。

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